金メダルの大本命、五輪の女子ジャンプの初代女王間違いなしとまで言われていた、沙羅チャンこと高梨沙羅選手、結果は残念ながら金メダルどころかメダルにも手が届かなかった。


試合後に行われたフラワーセレモニー、本来の指定席に立つことができなかった彼女の気持ちはいかばかりのものだったのだろうか。

今シーズンのワールドカップは天下無敵の13戦10勝、破れた3戦も表彰台は逃さなかった圧倒的な強さで他を寄せ付けていなかった。前評判も当然、金メダル筆頭候補としてソチ五輪に入った。1本目はフォクトと2.7点差の3位だったが、逆転を狙った2本目で距離を伸ばすことができず、順位を下げメダルも逃してしまいました。

初代女王候補筆頭、悪くてもメダルは鉄板!なんて日本のマスコミに騒ぎ立てられていた沙羅チャン、不運な風のせいもありましたが、決して風のせいにはしませんでした。

若干17歳の女子高校生ながら、どんな試合結果でも気丈で、キュートで素敵な笑顔で嫌な質問にも真面目にしっかりとした受け答えをしてきた沙羅チャン。それでもこらえきれなかったのでしょう。人前でなく高梨沙羅選手を初めてみました。
沙羅チャン、本当に本当にお疲れさまでした。

インタビューに対する受け答えもしっかりしていました。

「今この舞台に自分が立てたということはすごくいい経験をさせていただいたんですけど、今まで支えてくださった皆さんに感謝の気持ちを伝えるためにこの場所に来たので、そこでいい結果を出せなかったことはすごく残念です」

「今まで一緒に戦ってきた仲間なので『おめでとう』という気持ちと、『自分もあそこに立ちたかった』という悔しい気持ちでいっぱいになった」

失意のどん底にいる中、これだけ立派な受け答えができるところに、改めて沙羅チャンのすごさを感じました。そんなすごい精神力を持っている沙羅チャンでも、いつもと何か違うというくらい、五輪には魔物がいるのかもしれません。

それにしても、メダルを取る前は、初代女王、金メダル確実みたいなことを言って、高梨選手に有利な点ばかりを選び、いかにも金確実というようなことをあとっていた民間テレビですが、結果が4位となるや、手の平を返したように、腫れ物にさわるように、高梨選手の事にはあまり触れず、スノーボードの平野選手の銀、平岡選手の銅について、チヤホヤしている。
マスコミとはこんなものか、まったくひどいものだ。 だからマスコミは嫌いだし低レベルなんだと思い、沙羅チャンがかわいそうで見ていられないと感じていました。

ところが、NHKは違っていました。NHKの工藤三郎アナのインタビューに救われた気がしました。

「どうでしたか?」・・・
 (必死に涙をこらえる高梨沙羅選手)

    「よく頑張りました」
        (頷く沙羅チャン)

たった二言のインタビューで余計なことは全く聞かず。
「よく頑張りました」とだけ言った工藤三郎アナに、メダル至上主義の他局のマスコミにはない人間としての深さを感じました。

工藤三郎アナは、バルセロナ五輪の時も陸上競技400メートル競走で、メダル期待の高野進選手が8位だったとき、「メダルを逃しました」などと言わず「高野は世界の8位」と短いフレーズで高野の力走の価値を表現しています。
また、工藤アナは五輪での原田雅彦選手が大失敗ジャンプのあと、うずくまって立てないのも目のあたりにしている。これが4年後の不利な中でのメダル獲得のための135mを超える大ジャンプの時の「立て、立て、立てぇ、立ってくれ~!!………立った~!!」の名セリフにつながっている。

そして、その原田雅彦さんがNHKの解説で「高梨選手はきっと言い訳しないだろうから僕が代わりに言い訳させてもらう」と言って、高梨ちゃんのジャンプのときだけ不利な追い風が吹いていたということを一生懸命に解説をしていた。天国も地獄も見てきたジャンプのベテランの話す言葉には説得力もあります。

工藤三郎アナの人間としての包容力と優しさ、原田雅彦さんの苦労した人にしかできない解説、そしてそれに賛同し賞賛している周りの声。
これも、ゆまぬ努力を重ね真摯に競技に取り組んできた高梨沙羅選手だからこそ、そしてどんな嫌な質問にも健気に、笑顔で真面目に応えてくれていたその人間性のすばらしさを知っているからなのでしょう。

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